お年玉 /服部 剛
札を2枚取り出し
( すくすく育ちますように )と
願いをこめて
お年玉袋に そっと 入れた
( 亡くなってから10年過ぎた
( 在りし日の婆ちゃんは
( 晩年の畳の部屋でひとり
( 正月になるとやってくる小さい僕にも
( そんな願いをこめて
( 毎年お札を袋の中に入れたのだろう
2階で物音がした
姉と姪が目を覚ましたらしい
お年玉袋に封をして
再び階段を上り
ふたりがいる部屋のドアを開ける
「 あけましておめでとうございます・・・! 」
小さい両手にお年玉をわたすと
袋の裏に書いた僕の下手な字を じぃ っ
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