お年玉 /服部 剛
っとながめていた姪は
ママのおなかに顔をうずめて泣いていた
昨日は
ひい婆ちゃんとじゃれあいながら
「 わたしようちえんで
くりすますに たっくん とないしょで
ちゅー したの 」
と言ってたけれど
いつか大事な誰かに
そっと愛を告げられて
ママのおなかに顔をうずめる代わりに
どうするのかな?
などと思いつつ 三度(みたび)階段を下りる
今年もかわいい嫁っこをみつけられずに
元旦を迎え
無精ひげを生やした僕は
姪が昨日開いたまま
ソファーに置いた
読みかけの「 白雪姫 」の絵本を背に部屋を出て
ひとり初詣(はつもうで)に出かけた
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