みずへらし/なかがわひろか
っとみんなが
喜んでくれるから
だけどだんだん
みんなはイライラし始める
緑はどんどん枯れていき
人々の体の水は
日に日に汚れていく
みんなはどんどん
怒りっぽくなる
汚れた水が体を巡り
些細なことで喧嘩を始める
みずへらしは
悲しくなる
頑張れば頑張るほど
みんながどんどん
醜くなる
みずへらしは
働くことを辞めてしまった
どれだけ喉が渇いても
あの子の涙を飲まなくなった
どれだけお腹が空いても
雲を食べるのは止めてしまった
みずへらしが働かなくなって
悲しいとき
あの子は泣いた
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