剥離/
umineko
その瞬間
私の手の甲に
冷たく鈍い痛みが走る
うっすらと
滲みはじめるその赤に
私は泣いた
聞き付けた母親が
どこからかやってきて
兄をたしなめる
あなた
おにいちゃん
なんだから
そうだそうだ
私
誇らしく 泣く
その傷は
ただの浅いひっかき傷で
血も滲んだがその程度
しかし
私のくすんだ心は
その程度では終われない
毎夜
寝床にはいっては
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