中央線/P.B.
 
彼女が赤ん坊を抱えていた
私は、彼女の赤ん坊に対するまなざしや態度で
その赤ん坊が彼女の子であることを知る
それにしてもいつの間に赤ん坊は現れたのだろう

彼女と子供の様子があまりにも幸せそうなので
私も幸せな気分になり、私の乗っている電車が
中央線だろうが満州鉄道だろうが
どうでも良くなってしまう

私は再びカバンの中を漁る
するとウィスキー、ラフロイグの十二年が出てきたので
一口呷る
もう一口呷る

少しばかりいい気分になり
西荻窪の彼女に声でもかけてみるかと
彼女の方を見てみると子供が大分大きくなっている 男の子だ
小学校の入学式なのだろうか
真新しいラ
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