『救いの雨(巣食いの雨)』/しろいぬ
こわい。かなりこわい。このまま無視し続けると視線だけで殺されてしまいそうなので頑張って答えることにした。
「……大丈夫なんで、お構いなく」
「……」
なぜかまたにらまれてしまった。しかも無言で。本当に殺されてしまいそうだ。
「大丈夫なわけがないだろうが。ほら」
す、と侍お姉さんの白い手が伸びて、僕の頬に触れる。
……温かい。
「やはり随分と冷えてしまっているじゃないか。このままだとお前、死んでしまうぞ?」
「……そうですね」
「他人事みたいに言うんだな。それはお前の命だろうが」
「いいんですよ、それでも
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