『救いの雨(巣食いの雨)』/しろいぬ
いに肩が軽くなった。温かさも、少しだけ戻ってくる。
「?」
目だけ開けてみた。見るとぼくの周りに丸い影。どうやら頭上にある何かが、ぼくを雨粒から守ってくれているらしい。
半端じゃなく億劫だったけれど、なんとか首も動かして、上を見やる。
「おい」
「……」
「無事か?」
「……」
そこには和傘を携えた侍ちっくなお姉さんがいた。
「……」
うわよく見ると佩刀までしてるし。マジだ。この人マジ侍だ。
「…………」
「……私は大丈夫かと聞いているんだがな」
にらまれてしまった。
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