『救いの雨(巣食いの雨)』/しろいぬ
 
くら春先の比較的温かな季節とはいえ、これ以上体温と体力を奪われ続けると、ひょっとすると生命に関わるのかもしれない。

 でも。

「それもいいかな」

 と、なんとなく思った。

 これで終わるなら、それはとても幸福なことだと、願ってしまった。

 分際もわきまえず、そう、夢想してしまった。

 そんなことあっていいわけがないのに。

 ぼくが救われていい理由なんて、この世界のどこにもあるはずがないのに。

 救われたい、と。思ってしまった。いや、巣喰われたいと想ったのだろう。

 何に?

 …………。



 その時、ふいに
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