そう/なかやまそう
 
た車内を
静かに
チェレンコフ光は
北から南へと
透過していく

天井からぶら下がる
広告の文字の
かけらはもう
キャパを越えてしまった
ぼくの脳では
文字化けを
起こしてしまい
ひとりで
読み取ることは
できなくなってしまった

つり革の上の
網棚から色とりどりの
ちり紙が雪のように
落ちてくる

ぐちゃぐちゃに
丸まったチラシの
ようなものが
ぽとりと
ぼくの靴の
うえをたたく

かがんで丸まった
チラシを
ひろげてみる

四歳の頃に
折込チラシの
裏側に描いた
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