リアリズムについて/佐々宝砂
さはなかったはずだか、基本的かたちはそう今とかわりはなく、薄べったく指が長く土踏まずが妙に広い足だった。
こりゃ全然実物と違うなと思った私は、まず土踏まずをつくろうと足の裏側を削った。削った上で自分の足と見比べたところ、まだまだ甲が高すぎた。これではまだだめだと思ったので今度は甲を削った。高さはだいたい同じになったが、今度は指が短すぎる。しかたないから指の股を削って削って細く長くしたら小指が折れてしまった。こりゃあかんと思ってつなげた。そのうえで見比べたら、だいぶ私自身の本物の足に近くなり、私はまあ満足した。
翌日その足を学校に持っていって提出した。作品を見た図画工作の先生がいきなりい
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