リアリズムについて/佐々宝砂
 
りいわく「ばかに薄いなあ」。クラスメートいわく「変な足」。確かに、私のつくった足をみんなの作品と並べると、明らかに薄すぎた。指が長すぎ、細すぎた。土踏まずが広すぎた。でもでもでも、私の足は薄くて指が長くて細くて土踏まずが広いのだ。それが私の足で、私としてはとてもリアリティのあるものをつくったつもりだったので、私は内心傷ついた。よっぽどその場で靴下脱いで自分の足と比べてみせようと思ったが、めんどくさかったのでやめた。

リアリズムという言葉をきくと、私はいまも自分の足のことを思い出す。
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