電子レンジのメロディー/________
揺れる鎖のきしみが優しい
もうすっかり暗くなった公園でわたしは
変質者が現れてわたしを刺して連れ去ってくれればいいのにと思う
自分で手を下すエネルギーがないくせに
これ以上存在し続けるエネルギーもなかった
遠心力に頼って少しだけ重力にかなった気になった
星がとけそうになりながら遠くにあった
ぶらんこをこぎながら、わたしは、それでも
手を伸ばすことはしなかった
届かないものに手は伸ばさなかった
家の中で泣くのは卑怯だと思っていた
お父さんもお母さんも一人の人間だった
心配なのは妹が大人になったときどんなふうになるかだった
それだけ気にかけた
お父さんもお母さんも他人同士だ
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