その森の中程には/ウデラコウ
古びた 石でできた半円球の舞台があって
その中央には それまた 大層 古びた ピアノが一台
音が出るのか誰もしらない。
そこへ辿りつく者がいないから。
誰が置いたのかもしらない。
その森の入り口さへも見つけられないから。
ある日
一人の
なんの変哲もない
一人の
少女が
その森へ迷い込んだ
彼女は
迷い込んだことにさえ気付かないほど
酷く 当たり前のように
その森の中に続く
道のようで
道でない道を
歩き続けた。
そして その森の中程で
例のピアノと例
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