その森の中程には/ウデラコウ
と例の石造りの舞台を見つけるのだ
舞台の周りは
見事に測ったかのように
同心円状に樹が1本残らず取り除かれていて
それは宛ら 青空の下に曝け出されたコンサートホールのようで
少女は
ゆっくりと引き寄せられるように
そのホールへと 歩みだして
少女が
朽ちかけた石の階段に
足をかけた瞬間
中央に鎮座した ピアノは ひとりでに 動き出し
まるで彼女に奏でられることを 自ら望むように
その白と黒の鍵盤を
むき出しにした
少女は
ピアノに誘われるがまま 朽ちかけた 椅子に腰掛け
その鍵盤に
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