破格/狸亭
 
新書本、文庫本、雑誌、増殖する詩集。「ランボー」という活字が印刷された全集、評論、翻訳数十冊・・・・・・

隠居元年。
プルースト『失われた時を求めて』十巻からとりかかろうか。老いらくの恋だから、食欲も性欲もおとろえたのに、読書欲だけが二十五歳のように燃え。

二〇〇〇年三月一五日付東京新聞夕刊コラム「放射線」で未だ若い関川夏央が「25歳以降に進歩なし」と題する文章を書いていた。「心は年ごとに硬くなる。脳のひだは日ごとに浅くなる。自分は『二十五歳までに接した文化』という名前の檻(おり)に閉じこめられている、と知って私は茫然(ぼうぜん)とした。新しさをもとめても、それは鉄格子の
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