先住民の故郷/小房 嘉納子
の何が嬉しいのかわからぬ娘は
先住民たちの中にも数人居て
おとうさんとおかあさんのそばを離れたくて
家を出ました
そして先住民たちを
箱の中に自らを拘束し息苦しくないのだろうかと遠く眺め
故郷を吐き捨てるように恥であると考える
こんな島国のさらに鎖国の町
己が何者であるかということなど
微塵も気にしない者の集まり
依存と妥協と馴れ合いと避妊の仕方も知らぬ
芸術のかけらも見つけず町の色にのみ染まり
以降外の者を寄せ付けずさらに子どもを作る
後に余所から来た者とは一筋の道を挟んで
完全な境界が出来ているではないか
それらは美しさを見出すにはほど遠い集団に思えるのだ
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