冬の庭/まほし
夕日が真っ赤ににじむころ
町のはずれに着いた。
大きな川が
とおせんぼするように
流れていたので
足をとめた。
息がぜいぜい
ないているのは
とまらない。
ぽつり、と
川のむこうへ
なみだみたいに
夕日が落ちていった。
川をのぞきこむと
今にも飛びこみそうな
わたしが
ゆれていた。
―――これいじょう
いっちゃだめ!
からだに電気が走る。
めまいがして、ふと上を向くと、
うでを広げるよりも、川が流れるよりも、
もっと大きな空がわたしをつつみこんでいた。
しゃがんでいるまわりの
枯れ草も
北風も
三日月も
[次のページ]
戻る 編 削 Point(27)