ファニチャア海岸/カンチェルスキス
 
った人たちだった



 わたしの背負う家具は最初は木の肌色だったが
 今ではくすんで黒ずんでいた
 唯一日記帳をしまってた引き出しも
 日記をつけなくなってからは取り外した
 八つ当たりも激しかったので
 凹みやむきだしになってるところもあった
 お菓子のおまけのシールを剥がした跡や
 おはぎのつぶが
 いつまでも残っていた



 ここまできて捨てるのが惜しくなったのは
 わたしの性分だ
 とても重かったけど
 慣れてしまっていた
 邪魔だと思ってるときでさえ
 どこかいとおしさを感じていたのだ
 これがない自分の暮らしを想像することは
 難しかっ
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