小詩集 雪の扉/
杉菜 晃
ら
よけい音は
大仰になる
目と嘴の鋭い
あの鳥は何
◇キリギリス
何昼夜も鳴きつづけて
キリギリスは
今朝鳴きやんだ
終着駅に着いた
列車のやうに
静かに
夜だけが明けていく
◇風花
碧天に
きらめき舞つてゐる
冬の前兆
優しい姿に化身して
かざはな
冷たさ
尋常でなく
人は決意して待つ
苛烈な冬の時代
◇雪の扉
野兎
日がな一日
雪の上にゐる
跳ね
佇み
∵・ ∵・ ∵・
[
次のページ
]
戻る
編
削
Point
(15)