小詩集 雪の扉/杉菜 晃
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◇ストーブ
ストーブに載せる
スルメ
干し魚
干し芋
玉蜀黍
いづれも
去年のもの
◇北の風景
葉も落ち尽くし
静けさが領してゐる
林間
枯れ枝を栗鼠が走る
炎の尻尾をなびかせ
凍りついた枝に
火をつけて回る
厳寒に
栗鼠は
早くも
春の準備をしてゐる
◇春の水
たうたうと
春の水は流れ下る
浮かぶのは
枯木
枯れ枝
枯葉
すべて過去のものたち
◇丘
牧が開く
牛はあこがれの丘へ
駆け登る
草を
舌に巻取り
巻取り
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