短歌的抒情は現代詩の敵か?/umineko
いんですね。
でも、そのエリオットは、決してヨーロッパの文学的伝統を否定していない。それを踏まえた上で、個人の創造的活動として批評はあるべきだ、と説いています。すなわち「批評」が評価・創造といった肯定的な意味合いで用いられている。
一方小野は、日本の文化的伝統はどれもこれも湿っており、それは短歌や俳句に代表されるとして、「短歌的抒情の否定」を唱えます。それに対峙するものとして「批評」があるのだ、と。つまり彼にとって、「批評」=否定、なわけですね。非常にネガティブな態度で。
それはある意味時代の必然でしょう。つまり、小野は大正から昭和へと激動する時代に対し、無政府主義/アナキズムを
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