川の底に置かれた石/服部 剛
列車の最後尾の便所に辿り着いては
吐き続けるだろう )
Boy
夜の教室には
君が旅に出る前に
ナイフの切っ先で文字を刻んだ教科書の
破ったページが
黒板に貼り付けてある
Boy
都会で出会った女達と体温を分け合い
結んではほどけ
離れてはまた愛でようと
腕を伸ばすのだろう
Boy
多くの恋に落ちても君は
丘の上に傾いて立つ 秋の樹木だ
細く折れない幹の周囲に
かさかさ と枯葉を散らし
全身の葉を揺すって詩う
君はたった独りの樹木
Boy
腰のくびれたギターを抱いた君が
新宿の路上で絞る唄声の前を
人波の川は今日も流れゆく
(ひ
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