師走の具沢山汁/あおば
 
しているから死にそうな感じとは思わないから、誰も注意を払わないで、そそくさと道を避けて急行電車のお通りを歓迎して倶利伽羅紋紋の古い型の電車が肩を怒らせて飛び込んでくる風圧。
前面抵抗が有りすぎるんだよ、バカ、頭を丸めて流線型になれば空気抵抗が減って、近づいても誰も圧倒されないから、丸儲けなんだよと、小田急のSE車が能書きを垂れる横で、鉄道マニアの少年が嬉しそうに肩を叩く。錯覚だよ、夢だよ、醒めなきゃと、アルコールランプが揺れるから、髪の毛に火がついて、襟首に鎌鼬が顔を出して火を消そうとするのだけれども、首を掻き落とす方が手っ取り早いと気がついて、あたり一面血の海となって、少年は息が絶えた。

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