永遠のむこうにある空  デッサン/前田ふむふむ
 
りのとき、
灰色の遺骨を迎えるものは、絶えて無く、
わずかに流れる近傍の川を、
あなたが眺めていた、まどろむ視線の残影が、
うろこ雲の、むこうに沈んでゆく。

忘れられた声を胸にまとめる、その寂しさに、
わたしの乾いた眼が、汗ばむ。
絶え間なく湧き上がる病院の煙突のけむりは、
空の四方に突き刺さり、痛みを受け取る、
夥しい雨のおちる場所は、こうしてできるのだろう。

季節だけが、翼をひろげて、病院の白い壁を
ひたしてゆく夕暮れに、
わたしは、川面を両肩の内側に抱いて歩く。
せめて、優しさを演技して、両肩のなかだけで、
号哭を見つめていたい。

凍える一吹きの風に
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