永遠のむこうにある空 デッサン/前田ふむふむ
を塗した川面を、
わたしは、両肩の内側に抱いて歩く。
淡いひかりに微分された流れは、
遅れながら、ついてくる。
流れが、ようやく、わたしに追いつくときの間隙に、
打ちだされる、漠寂とした河口に広がる、みずの平野を、
濡れた風でわけて、
その香りをあげる草のなかで、
わたしは、声をあげて、眠ろう。
冬から飛び出した白い壁の眩しさが、眼に焼きつく、
洗濯物の匂いが染みつく病院は、
名前のない窓を開いて、虚無が旋回する雑木林に透過した、
何人ものあなたを導いて、
あなたは、白い病院が浮ぶ青い空より、
ふたたび戻ることはなかった。
空さえも見えない、わずかに灯る祈りの
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