沈黙の為に++/六崎杏介
 
とそれに対する罰、悪夢のイメージがあるのでは無いか。
それは自分にとっては、「数百年の間、一年に一つづつビーズを通し続けていた紐を切ってしまった」意識と「鈍器の様な物で顔面を何度も殴打される」イメージだった。
原罪の。それは自らの関与してしまった、ほとんど殺人に等しい事案の暗示かも知れないし、父親が祖父から家督を継ぐ事を諦めさせた自らの不義についてかも知れない。これから犯す何かについてかもしれない。
覚えていない位昔にそれを意識して以来、他人に何かを期待する事を止めた。
他人、世界は件の罰が来る迄の暇潰しの為に存在する様になっていった。諦めてしまった事が、よく分からないが敗因の気がする。
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