最初で最後の握手。。。/Lily of the valley
 
込み、また外に出てきた。
ボクは、何も言うことが出来ずに、ただうつむくだけだった。
先生は、ボクのほうに右手を差し出して、『握手。』と言った。
反射的に顔を上げたボクが、『えっ?』と聞き返すと、『拍手のほうが良い?』と聞かれてしまったので、ボクは夢中で首を横に振った。
おずおずと右手を差し伸べると、先生はボクの手をしっかりと握り、『体には気をつけて、元気に生活しなさい。また、いつでも戻っておいで。』と言ってくれた。
瞬間ボクは、都合の良い夢を見ているのかと思った。
人に触れられることを嫌っている先生が、自分からボクに触れてくれたのは、これが初めてだったから。
ボクは、泣きそうになった
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