最初で最後の握手。。。/Lily of the valley
ったけど、泣かなかった。
だって、今泣いたら、先生に、ボクの泣き顔しか思い出してもらえないような気がしたから。
ボクは精一杯の勇気を出していつものように笑い、『手紙、書いて良い?』と聞いた。
先生は何も言わず、ただ笑ってくれた。
いつものように嫌味を含んだ笑いではなく、優しく、微笑んでくれた。
ボクの心は、不思議なまでに落ち着いた。
先生は一瞬力を込めてボクの手をぎゅっと握り、それから手を離した。
『またね。』と言って、先生は手を振ってくれた。
ボクも、手を振り返えした。
さよならは言えなかった。
また会えると信じていたから。
扉が閉まり、先生の姿が見えなくなった。
家に帰
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