最初で最後の握手。。。/Lily of the valley
生が立っていた。
『どうかしたんですか?』とボクが尋ねると、『僕に何か用があって待ってたんじゃないんですか?』と聞き返されてしまった。
ボクはただ友達を待っていただけだったのだが、このまま引き下がるのも釈然としなかったので、『最後に名残を惜しんで握手でもします?』と言うと、先生は、パチパチと手をたたきながら、『はい、拍手。』とぼけて去って行った。
あの人のいつもの手口だ。
他人に触れられることを極端に嫌がるあの人は、そういう話になると、平然とすらっとぼけて逃げる。
それが面白くて、何度もやってきたが、しつこく迫ると、思いっきり怒鳴る。
その一部始終を見ている周りの人たちは、驚き、竦んで
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