「 月宴。 」/PULL.
 
こからともなく、
夜のものたちが集まり、
やがて宴になる。

夜のものたちの宴は、
影のないものたちの宴。
影のない夜のものたちは、
星の灯火のなか、
たがいの影を探り、
その身を擦り、
混じり合い、
まぐわい、
いくつものひとつになる。

まぐわいの宴は、
夜のどこまでも続き、
夜のどこまでもまぐわう。
そんなきりのないまぐわいの上を、
恥ずかしげに月が歩く。
月が歩くたび、
ひとつ、
またひとつと、
まぐわいが生まれる。
雲が恥じらう月を隠すが、
星の灯火がまた月に見せつける。
まぐわいはどこまでもきりがなく、
影のない夜のものたちは、

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