短い紀行文/光 七清
 
で逆立っていた。
くしゃくしゃもつれてかわいらしい猫だなあ。
“おい”というと、“にゃあ”といった。
付いてくるんだろうなあとおもったのに、
次の曲がり角で、奴はあっさりいってしまった。
いったいなにしにきたんだか。
ばかやろうっ、とおもったのだけれども、
許してやることにした。
また会うことも、あるだろうしね。

僕は心が広いんだ。

僕の旅路は長かった。
覚えていられないほど、長かった。
たいした仕事も無かったので、余った時間を有効に使った。
まず、はじめに、スケート靴を買いにいった。
それから、大きなバスケットボールを探したけれども、
パラソルより大きなサイ
[次のページ]
戻る   Point(4)