短い紀行文/光 七清
の木があった。
奴らはお互いに張り合っていた。
僕が通ると
ありの巣なしの果物の木は、ちょっとかわいらしい流し目をこちらによこした。
ありの巣つきの果物の木は、夜になるまででかけるといった。
せっかくの日曜なのに、こんなところにはいられない様子で。
なんてしゃくに障る話だろう。
だから、果物の木は切り倒すことにした。
手当たり次第に打ちのめしてやったので、
やつらはつぎつぎに動かなくなった。
どしん、どしん、どしん、ずしん、どん
木と、木と、木と、それから電柱が一本。
あとはなんだかわからない。
次にあったのは猫だった。
白い猫で、頭の上の毛が、一筋ベージュで逆
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