愛の墓場/ロリータ℃。
コーヒーで、白けてゆく空を窓越しに見つめる。ゆうべの名残が残るベッドの中で、かつて愛した男は泥のように眠っている。あまりにも唐突に彼は大人になってしまった。そして変わらずに、私を愛していると囁くのだ。互いの体の境目すらも曖昧になり脳も肌も骨も内臓も意識さえもぐずぐずに溶けてしまうようなセックスもできないのに。
空が明るくなったとき、私は彼を起こすだろう。行かないで一緒にいてと縋ることもせずにしなやかで強く相変わらず自由な振りでにっこり笑い、彼に挨拶をする。身支度を整えた彼は新聞を読みながら今日の会議のことを考え、そんな自分に没頭しながら出かけてゆく。取り残された私の哀しみは、強い振りをすること
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