夜を夢想する海の協奏/前田ふむふむ
 
つける、
夢を、濡れたまくらに沈めて。
叩頭する秋の灯台は、みずを閃光に埋めて、
枯れた灌木が、殺伐としたわたしを、透過して、
涙ぐむ太陽は、いつまでも、水平の眼差しに佇む。
わたしは、尚、愁色の純白に触れる。

    2 追想

       蝉時雨が跡を追う、街は、淡いみずを打つ、
急な坂を下れば、砂が軋む夏がある。
    
エメラルドの海原が、ゆっくりと蒸発してゆく。
わたしの眼が、沙漠の砂を飲みこんで、乾いた夜が暮れてゆく。あの、零れ落ちそうな澄んだ海の抱擁は、わたしにはもう見えない。暮れ行く太陽に染められて、黄金色に、変貌してゆく海が、隠蔽の闇をひらく。寂し
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