ピラニア/「Y」
は薄茶色に変色しており、出入り口のガラス扉に入っている一本の大きな罅も、長いこと放置されている様子だった。僕と父は館内に入った。館内は薄暗くてひんやりとしており、リノリウムの床はきれいに磨き上げられていた。ロビーと日と繋がりになっている奥のフロアに、標本の入れられた陳列ケースが整然と並べられているのが見えた。陳列室では、象牙色の天井に巨大な扇風機の羽のようなものが二つ並んでいて、ゆっくりと回っていた。
結局、僕が父に急かされる格好で、僕たちは午後二時前に、ようやくそこを立ち去る事になった。
「何にそんなに熱中していたんだ」
「甲虫類かな。よく分からないけど、見ていて飽きないんだ」
「綺麗
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