ピラニア/「Y」
った。
翌日は好天だった。
朝早く出たのが良かったらしく、幹線道路も国道も、まだ込んではいなかった。
海沿いの道を走っている最中、AM放送は、カントリーを流していた。父は、曲にあわせて鼻歌を歌い、僕は、カーナビゲーションの液晶を指先でなぞっていた。
「ステーキを食べて、あと、どこか適当に面白そうなところを探そう」
父が前を見たまま僕に訊いた。
僕が見つけたのは、《房総昆虫博物館》だった。
「これは? 」
ディスプレイの上を指した僕の指先を横目で眺め、父は微笑を浮かべながら言った。
「昆虫博物館か。そこには前に行ったことがあるぞ。お前も一緒だったよ」
「本当に? 全
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