ピラニア/「Y」
痛みを感じなかったので、ピラニアの鋭い歯によって指先が傷つけられたのだということを理解するまでに、すこし時間がかかった。黒っぽい血が僕の指先からつぎつぎと流れ落ちた。それはピラニアの胴体にまだらの染みをつくり、ピラニアが跳ねるのと同時に周囲に飛び散った。
僕は指先の傷の手当てを後回しにすることにして、再びピラニアを掴みにかかった。枕カバーを取ってピラニアの身体を包み込む方法が頭に浮かんでいたけれど、僕はその方法を採らなかった。自分自身の手で直に魚を掴み、水槽に戻すのでなければ、収まりがつかないような気分だった。
タイマーのせいで、既にエアコンは止まっていた。フローリングの床はまだひんやりし
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