ピラニア/「Y」
ッという音を立てて、水の中で踊るように揺れた。
店員は立ち上がり、まあ、あまり難しく考えないほうがいいよ。と言いながら僕の肩をポンと叩き、洗い終わった水槽を持って店内に入っていった。
僕は、開け放たれたままの扉ごしに、店の中に目を遣った。店内には一人の客もいなかった。たくさんの水槽が、蒼白い光とともに薄暗い店内に浮かび上がっていた。そして、その中で泳いでいる無数の熱帯魚が、青や緑に光っていた。僕はしばらくの間、立ち上がることもできずに、その光景に眺め入っていた。
その晩も、いつものように勉強を済ませ、僕は水槽の中のピラニアの様子を眺めたあと、エアコンのタイマーをセットしてベッドに入った
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