ピラニア/「Y」
 
った。ちょうど午前零時だった。
 真夜中に、何かを叩く音で目を覚ました。誰かが部屋のドアをノックしているのかと思い、僕は半分眠ったままベッドから跳ね起きた。
 電灯をつけるためにベッドから降りた。その時には、音のする方向がドアの方ではないことに、僕は気付いていた。
 ピラニアが、床の上で跳ねていた。水槽の外に飛び出したことよりも、床の上で音を立てながら跳ねているピラニアが、水の中にいるよりもむしろ大きく見えることに、僕は単純に驚いていた。空ろに見開かれた目が、途方に暮れているようだった。僕は床の上のピラニアを拾い上げようともせず、ただ見下ろしていた。
 ピラニアの膚が、ひどく黒ずんで見えた
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