木々の雨 他/青色銀河団
記された
たどたどしい少しの
日本語と冷たい風
ああそうです。彼はぼくの友達なんです。
終にそんな台詞は口にしたことがないなあ
ひとっかけらのぬくもりは
いつも真空のまんなかで
すぐ透明になっちまうから
太陽の沈む公園は
濡れたひとつの眼です
その美しい意味の深さまで
永遠に墜ちていくのです
ああそんな風景も目にしたことがない
いつもぼくらの手に残るのは
ただ残骸のようなやわらかな感触だけだから
背中合わせの影を突き抜け
季節は秋から冬へ
あのゼロの生まれる地点へ
ぼくらは路面電車にゆらゆら揺られ
永遠に戻ることはない
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