小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
 

同じ種族として
このうたを



七、火山灰は降り積もる

見上げたそらを
駆けてゆく
ひとすじ

それがまだ
尾であるならば
どうか尾のままで
胴と
両目と
ゆびさきと
まったく等しく
失せてゆけ

罪とは
かぶるものであるらしい
永く身を染める月は
かぶるものか
かぶせるものか
遠い国からは
えてしてすべてが
まぼろしとなり
近くに想う

終わらないものはなく
始まらないものもない
それは
もしかすると
終わりと始まりと
もろともに拒む
そのための原理

火山灰は降り積もる

たぶんに
きのうときょうとでは
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