小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】/千波 一也
器用な人間は
気の毒なくらいに
器用になってしまいました
そんなことにも
気づかぬほどですから
周りはすべて
部品であることも
人間にとって
部品は異物であることも
気づきません
既知はいつも未来です
人間はみな少年少女です
秘密の
基地はいつも未来で
よごれは
よごれと呼ばれぬままに
動いてゆきましょう
動かしてゆきましょう
精密で大層な
ひとつのきずなに
いだかれながら
たとえば
そう
あの月面まで
十、伝書鳩
約束は
どこにあっただろう
あれは
空という名前だ
これは
風という感覚だ
それは
流れとい
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