ナイフを買ったよ、白い柄のナイフを買ったんだ。/虹村 凌
事は無かった。
忘れかけていたけれど、感謝することを思い出した。
そして、俺より不幸せな人間が、まだまだいるだろう事を思い出した。
俺はその時(当時18〜9歳)まで、キチンと育ててもらった。
虐待も受けず、飯を食わせてもらって、学校にも通わせてもらった。
治療もさせてくれた。醜い言動を繰り返す俺を、黙って我慢してくれてた。
友達もみんな、優しくしてくれた。
一部のクソ野郎が、俺の顔を見て笑っても、生きてこられた理由が、そこにあった。
俺よりも酷いアトピー持ちの人間はもっといる。
俺みたいに、幸せに育てて貰えなかった人間も沢山いる。
それは虐待であったり、殺されてしまった人間を含
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