すみちゃんのセーター/吉田ぐんじょう
出た
町の外観は
整形でもしたかのように
劇的な変化を遂げていた
信号待ちをしているとき
ブティックのショーウィンドーに
妹がうつって此方を見ていたので
あれ、すみちゃん、何時かえってきたの
と言って触れた
妹は硬くて冷たかった
変な顔をしていた
あれ、すみちゃんかたいねえ
つめたいねえ
具合でもわるいの
五分くらい触りつづけてから漸く
それは妹では無くて
自分である事に気がついた
居たたまれなくなったので
逃げるように横断歩道を渡った
青信号は点滅し
鳩が笑うみたいな音が追いかけてくる
息を切らしながら妹に電話を掛けてみたら
今からバイ
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