三つの街?浮遊する断片/前田ふむふむ
あなたに貰った手紙が、薄紅色に、泣いています。
あの、手触りは、忘れません。
いまも、
あなたと一緒に、生きている街を見ています。
2 誕生の街
吐きだされる、むせかえる欲望が、
賑わう不眠の街に、柔らかい肌を、浮き上げる。
十代を開く女たちは、重なりながら、赤い闇に消えてゆく。
戯れる青い階級の、肉体をむき続ける、
乾いたネオンが引きだす、
古い衣装を纏った時計の波は、
あたえられた風景を、坦々と、刻みつづける。
すでに、飽きられた窓は、いつまでも、娼婦のように、
怠惰な抱擁に流れる。
薄汚れた街角に、異形の胎児が捨ててある。
その胎児
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