三つの街?浮遊する断片/前田ふむふむ
 
、微風を転がしている。
微風に靡いて、赤い炎が、
鮮やかに、わたしの忘却を焼き尽くして。

          炎のうしろを廻る、
棟々の水底に、なつかしい墓標を横たえる。
みずの底流を辿れば、あなたの名前を刻んだ、
赤い血液の冒頭が、
厳かに、浮かび上がる。

青い空と、みずのような虹に、戯れた遠い日、
ひそかに置き忘れた、あなたとの約束が、
後ろ髪を引く、しがらみをほどいて、
わたしは、胸に沈めた、古い暦の祝日を、
捲り始める。

追伸。
みずいろが薫るあなたへ。

あれは、海鳴りが、わたしたちを飲み込んでゆき、
滔々と、ふたりで流れた夜でした。
あな
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