四ツ花/Rin.
 

私は
花びらが一枚足りないの
みんなは五枚なんだ
でもね


  一 

ずっと前、
私は小さな種でした
ほんとに小さくて、軽くて、やわらかかった
あの土と、この風が私を育てて
それはもう、書き換えられないストーリー

ただひたすら直線を縫うように
時は紡がれて、そして私は咲いたんだ
でもね
私には花びらが足りなかった
双葉の頃は
友達と同じ数だけ
葉っぱがあったんだよ
それにね
私の花びらは
一枚だけ黄色い点がある


  二

花びらが足りないと
ちょっとだけ平衡感覚がない
黄色い点を通すと
世界が眩しい

春が私を咲かせ、
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