薬理記録 10/19・20/六崎杏介
 
が、柘榴の様に弾けてゆく。

終息に足を進める硝子張りの光と、辛うじて赤い、瀕死の約束。

メビウス状に接着されたフィルムが夜露に永遠を映写しようとして、機械と絡み合う。
其の淫らな動作音に、嘔吐する潔癖な山羊のペニス。吐瀉物から産まれた小人が歌う。
アッシュトレイに輝く針を落とす。フワリと灰色の音楽が舞い、すぐに私と一緒に睡りに墜ちる。
幾重にも夢が積もり、赤い約束はもう見えない。

PM11:30
カラスが連れて来た中途覚醒が、複雑な黒闇の構図を網膜に貼付けた。
存在しない遠雷が、彼の生来の自殺願望を果たしている。それをパースで裁断する。
バースディカードとして最古の妊
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