ぬけがら/九谷夏紀
 
からだを越える)

(このぬけがらを流れ出してしまえたら)


ざわつくぬけがらの中で思いは巡る

これまでに出会った人たちが私に与えていったものを

ある人の情欲は

男女や男女を超えた関係を

永久に保つ最後の手段のように思えた

泣き腫らしながら理解したつもりでいても

それは私のものにはならずに

ただぬけがらの原形となり

またある人は

すべてをつつむやさしさを私に向けてくれたようではあったが

互いの本質を探ることさえできない関係上

それに救われるのはうわべまで

「相手のすべては永遠にわからない」

そんなことも真理の
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