湯煙三昧/恋月 ぴの
松の湯
跳ねる湯船も恐ろしく
あれは白鯨モビーディック
いかつい背中の倶梨伽羅紋紋
あまりにも鮮やか過ぎて
タオルで隠さぬ前を横目に見れば
なぜか思わず猿山の猿気分
ラッキョの皮でもむいてみたい
竹の湯
ふくよかさ
それは人類のロマン
あのひとは気にしないよって
言ってくれたけど
本当なのかな
おんなのわたしだって
憧れてしまう
お母さんの優しさ
ふくよかさ
目の前でタップンゆれて
谷間にはじけるシャボン玉
梅の湯
遥か遠くの山を思うとき
不思議とあの山の姿を思い描いてしまう
優雅な裾野は赤く染ま
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